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こども四人連れての動物園。
その地獄は当日の朝、あっさり左近の想像の範疇となった。
「べんまるは、べんまるは、くまがみとうございます!」
おそらく興奮の為だろう、顔を真っ赤にして叫ぶ弁丸。
確かに昨夜佐吉は、弁丸も一緒に連れて行きたいと言ったのだ。
あの後左近の監督の下、佐吉に電話をさせた。間違いない。
「そうか、ではこの儂がお主に熊を見せてやろうぞ!」
梵天丸にはおそらく弁丸から連絡が行ったのであろう。
一瞬、連れて行くのはこの左近ですよ、と思ったが、にこやかに手を取り合って熊について語り合っている様は、微笑ましいと言えなくもない。
「私は動物園というものは初めてでな!
動物を捕らえ囲ってあるところだと聞くが、それは不義なのであろうか!
是非ともその真偽を確かめねばならぬとこうして参った次第!本日はくれぐれも宜しく頼むぞ、左近!!」
こいつを呼んだのは、誰だ。
「与六もきてくれたのか!」
「佐吉、無論だ!私が行かずして誰が行くというのだ!
梵天丸のような不義の輩に動物園を闊歩されるのも癪であろう!そもそも…」
「はーい、みなさーん、車に乗ってくださいよ」
いっそ爽やかに与六を門前に置き捨てていきたい気持ちが溢れ出した左近だが、楽しそうな佐吉の顔を見るとそうも言っていられない。
ついに左近は腹を括り、皆を車に押し込んだのであった。
やっと車に乗れました…。