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叔父叔母の残したアニメのビデオをケースから取り出し、きちんとデッキにセットして再生を押すだけでなく、見終わったら巻き戻しておくウチの小僧さんを見ていると、最近の子は巻き戻しを知らないという事実を忘れてしまいそうになりますね。

ところで武田の話だったよね!

まぁ、あれですよ。
色々思うところ、あるよ。お兄ちゃん格好良過ぎ、とかさ。
初回プレイで左近を選ぶ人はなかなかいないんじゃないかな、とかさ。

私もずっと真田兄弟でプレイしちゃったからね。くのいちどころかお屋形様未プレイなんですけど。
天下統一の章も真田の章もやってないんで、真田兄弟の今後のイベントとか分かってないんですけど。
ミッションもまだ全部出せてないし、もしかしたら出してないイベントもあるかもしれないけど。

中途半端ですみませんが、武田の章を終わらせた時、これは書かないと!と久しぶりに沸々と思ったので、まぁ、のっけときますわ。

くのいちの、話です。





ずっとこのままでいるわけにはいかない。
勿論あたしだってそう思ってた。今もそう思ってる。



魔王と呼ばれた男は刀の柄を握ってはいたが、欠片の殺気も纏ってはいなかった。

細い枝の上。
突如訪れた凪ぎの中、足元の枝は微動だにせず、あたしは全くの無音で苦無を収めた。

あれが、信長かぁ。そんなことまで思ってた。
信長に直接対峙してた信幸様と幸村様はそんな余裕なかっただろうけど。余裕どころか。

懸命に刀を握り槍を揮う二人は、ちっちゃな猫みたいに見えて、微笑ましいなってあたしは。

その瞬間だった。 空気が変わって、あれ?これって。なーんて思ってた矢先、忍の技に似た、でも少し異質な匂いがして、ぞわりと足元から這い上った怖気は頭のてっぺんから抜けていった。首筋に僅かな鳥肌だけを残して。
それはほんの刹那の話。

信幸様も幸村様も真っ青な顔してて、もうちっちゃな猫みたいな表情はどこにもなくて、あたしは彼らが何かを視たことを知った。


ずっとこのままでいるわけにはいかないのだ。


あたしが信幸様の元を訪れたのは、その翌日のこと。

幸村様付きの忍にしてくれという私の申し出を、信幸様は随分軽い調子で受け入れた。

――もともとあたし、お二人のお目付け役みたいなとこあったんですよね~、お二人共ご立派になられて、もう目出度くお役御免~、かといってあたしは忍、二人同時につかえることなんか出来ませんて、だから。
あたしはそんな台詞をぐっと呑み込んだ。
うっかりべらべら言い訳したくなるくらい信幸様はあっさりとあたしを(この優秀すぎる忍たる、あたしをね!)手離して弟に譲ったのだった。

だからあたしの選択は正しいって、あたしは実感せざるを得なかった。

あの時。 幸村様ったら、真っ青な顔で信幸様を見てた。
でもね、二人の視線が合うことはなかったの。信幸様、見なかったから、幸村様のこと。

ねえ、何となく分かるよ。覚悟、決まっちゃったんだよね。
二人で茫然と顔見合わせてる場合じゃないって思っちゃったんだよね。

あたしね、信幸様のそーゆー強かさ、いいと思う。お兄ちゃんだなぁって思うよ。
幸村様と敵対する悲劇を、きちんと現実的に計算できちゃったんでしょ?

だからあたしは幸村様につく。
あの時うっかり信幸様にすがるような目を向けてしまった幸村様の迂闊さは、好きだなぁって思うし、何よりあたしが、守らなきゃいけないと思うから。

ずっとこのままでいられるわけなんかないんだから――それでもさぁ。




九度山からの書状はこれが最後になる予定。 なーんて言わなくても信之様はちゃんと分かってる。分かってて、何も言わない。あたしも黙ったまま踵を返す。

あの時の信之様の覚悟を、あたしは汚すべきではないのだ。

それは弟と袂を別つ覚悟とかじゃなくて、嘆きをただ嘆きとして一人で呑み込む、みたいな、言ってみればそんな覚悟で。

夜風に混じって信之様が紙を畳む音がする。
あたしは、どうにも我慢が出来なくて振り返る。
信之様はもう背を向けていた。その隣に立つ影が見える。
あたしの訓練された目は、彼女が、信之様としっかり見つめ合っている稲姫が、涙ぐんでいることも、微笑んでいることも、ちゃんと捉えてくれる。

ずっとこのままでいられるわけなんかないんだから――それでもさぁ。

そうしてあたしは、あの時呑み込んだ祈りが知らぬ間にすっかり成就してたことを知る。

それでもさぁ。本当にしんどいとき、信之様にも顔を見合わせて泣ける誰かが出来るといいよね。


いくら忍とて、涙の訓練まではしなかったから、信之様の姿も稲姫の姿も、すっかりぼやけてしまってもう見えない。あたしは細い枝の上、ゆっくり息を吐いて、九度山の幸村様のことを思う。
夜が明ける頃にはそっちに着くかな、なんて考える。
夜明けの到着だなんて、希望に満ちた日々って感じで、馬鹿馬鹿しいけどいいじゃない、なーんて思っちゃったことは、幸村様にも、もちろん、信之様にも内緒だ。
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