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さすがに現実から目を背け続けるのもどうかと思いなおし(遅い)、凄絶に片付けをしました。
その結果、出るわ出るわ。何だか分からないものの山。

数年前まで、わたしは多分「片付けられねえおなご」で、部屋はえらい有様でした。
引越しの時には、数日徹夜で泣きながら。という状態でした。思い返すにあれで引越しできたのが奇跡でした。
今の家はふたりぐらし(+にゃん)。かなり長い付き合いの相方ですが、前の家の床の色を互いに知らない(ものがありすぎて数年見ておらず本人すらうろ覚え)という恐るべき猛者同士。
わたしが色々恐れて今の部屋を片付けるようになったのは最早自然の流れといえましょう…。

なのに。かなり綺麗にしていたつもりだったのに。なんじゃこれは。
ガンプラの一部、迷子のブロック(うちは子供はおりません)、多分マニキュアのはけ部(どういう経緯でこうなったのか、全然分からない)、小麦粘土。
断然おもちゃが多いですね。
確かに前回の引越しに比べると格段に進歩していますが、それにつけてもカゴいっぱいのライターなんてどうしたらいいのでしょう?(現在禁煙中)
もうあれです。街中いって、「宜しくお願いしま~す」とかいいながら通行人に配るしかないです。

…引越し屋さんに「ものが少ないほうですよ」と言われいい気になっている場合じゃなかった!
でもわたしにとっては最大級の賛辞だったんですもの!大丈夫、あと4日あれば、多分終わる、はず。台所全然手をつけてないけど。
しっかし組み上がったプラモとかどうやって運べばいいんですかねぇ?特に戦闘機系。翼とか折れそうで怖いんですけど。引越しのマニュアルにも書いてありませんし(そりゃそうだ)

なのに、なのに、こどもむそうは書きました…ほめて(笑)

弁丸はサル山の前のベンチに座って、ほとほと泣き続けていた。
こういう時に無理に喋ったり声をあげて泣くことは、余計恐怖を招くだけだと、弁丸は本能的に分かっているのだろう。時折小さくしゃっくりあげる以外は何もしようとしない。ただ梵天丸の手を固く握っているだけだ。

「弁丸、ちょっと手を離せ」
確か鞄の中に飴が入っておった筈。それを取り出そうと、梵天丸はゆっくり弁丸の手をはがしにかかったが、弁丸は頭を振るだけで手を離そうとはしない。

「大丈夫じゃ、儂は何処にも行かぬ」
顔を覗き込んでそう諭したが、弁丸は一向に動く様子がない。涙も拭こうとせずに梵天丸を見ているだけだ。
「ならばここでも握っておれ」
弁丸の手を自分の腰辺りに導き、服を握らせる。弁丸がほっと息を吐いたのを確認すると、梵天丸はゆっくり姿勢を変えて鞄の中から飴を取り出した。

「弁丸、口を開けろ」
あーんと開かれた弁丸の口の中に飴を放り込んでやる。
「ゆっくり舐めるのじゃぞ」
弁丸の大好きな苺の飴。こんなことを予測していた訳ではないが持ってきて良かった。再び弁丸の手を取って、ベンチに深く座り込む。

「大丈夫じゃからな。ここでのんびり左近を待つぞ」
上手く出来ているか自信はなかったが、精一杯笑ってそう言ってやる。少しは泣き止んでくれるかもしれない。

が、梵天丸の予想とは裏腹に、今度は弁丸は大声で泣き出した。
「ど、どうしたのじゃ?弁丸?」
弁丸は答えない。

「間も無く左近が来る。な、弁丸、大丈夫じゃ!」
指先が白くなる程手を握り締めた弁丸は、梵天丸の言葉にも首を横に振ったまま泣き止まぬ。
「飴が嫌だったか?どこか痛いか?腹が減ったのか?厠か?」
思いつく限りのことを並べてみたが、弁丸は縋りついてやはり泣くだけだ。

どんなに泣き止まねばと思っても、涙が止まってくれない。
確かに怖いし、お腹も空いた気がする。でもその所為で泣いているのかと聞かれたら、弁丸はきっと首を傾げただろう。
どうして自分が泣いているのか、分からないのだ。

梵天丸が一生懸命自分を慰めてくれたり、飴までくれたのが嬉しい。と同時に自分には何も出来ないのが歯痒いのだ。しかし弁丸にはそれを伝える術がない。
なきやまないと、ぼんてんまるどのが、こまってしまいます。
滲んだ視界に浮かぶ梵天丸は、弁丸が思った通り泣きそうな顔でこちらを見詰めている。それに気付くと、弁丸の涙腺は益々言う事を聞いてくれなくなるのだ。

「弁丸。大丈夫じゃから」
大声で泣き過ぎてけほけほと咳き込む弁丸の背を撫でても、一向に事態は良くならない。
儂はどうしたらいいのじゃ!
梵天丸とて全く心細くない訳などない。弁丸の泣き声に煽られて、梵天丸の目にも涙が浮かぶ。

どんなに酷く転んでも弁丸がここまで泣くことは今までになかった気がするし、いつもは何か食べればにこにこ笑っている弁丸である。それが今日は飴を食べさせても効果がないなんて。
駄目じゃ!儂まで泣けば益々弁丸が不安がるではないか!
正確には弁丸の泣いている理由はそれだけではないのだが、梵天丸には知る由もない。
乱暴に自分の目尻をぐいぐい擦って無理矢理涙を飲み込み、弁丸の頭を撫でようとした時、待望の声が耳に届いた。

「あー!いたいた!殿、こっちにいましたよ!」
「なに?!よくみつけたな、左近!だいじょうぶか、弁丸、梵天丸!」
ばたばたと近寄ってくる左近。そのすぐ後ろを正に転がるように佐吉が走ってきた。

突然の待ち人の登場に弁丸は泣きやみ、きょとんとしている。まだ状況が把握できていないようだ。
もういい。とにかく助かったのだ。梵天丸は弁丸の手は強く握ったままで、しかしその場にへたへたと座り込んだ。


こういう時にちゃんと泣ける子と、うっかり頑張ってしまって泣けなくて、だから気持ちの切り替えも下手って子がいますよね。どっちも可愛いです。
あと、純粋な恐怖だったら怖くて却って泣けないかもと思って、弁丸の泣く理由を考えました。伝えるべきことが伝えられないので泣くというのはままあることな気がします。
何はともあれやっと合流。かなり引っ張ってしまったので、わたしもほっとしました。お疲れ様、梵天丸。弁丸と一緒にうちの子にならないかい?(笑)

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