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携帯の話を上げましたー。…携帯じゃなくて、携帯の説明書の話、か?まぁ、どちらでもいいですよね。直江は元気でいいですね(おざなりな感想)。
昨日の台風で、庭の野菜が一気に芽吹きました。
大根菜と枝豆とピーマンです。や、ピーマンは苗だったんですが、急に背丈が伸びたって感じ。大根菜と枝豆は双葉状態だったのが、一気に成長しました。
今週中には間引きをしないといけません。
ただ、勿体無いのでついつい抜き方が甘くなってしまい最終的にはまるでジャングルのようなプランターになってしまうので、今度こそ気をつけます。
お菓子コーナーで三家老は今日何度目かの作戦会議である。
「いくら殿が敏いお子といえ、ノーヒントで牛乳を思い出すのはちと辛いのではないか?」
ノーヒントも何も、佐吉はクイズをやっているわけではないのだが。
「そうですな、ここはヒントを出すべきでしょう。牛乳と言えば…」
「牛じゃな!」
郷舎が元気よく答える。
「そう、牛だ。しかし牛を持ってくるわけにはいかないですからねえ」
郷舎の答えを受けて牛について真剣に吟味する左近は、これでも石田家の軍師の筈で、そう思うと少し切ない。
「牛…牛か。草!牛は草を食うぞ、左近殿!」
「待たれよ、兵庫助殿!草より、白と黒繋がりで鯨幕というのはどうだ?!」
「や、そんなものスーパーに持ち込んだら叱られますって!」
左近達の写真撮影もビデオ撮影も黙認してくれている心の広いスーパーといえど、これ以上迷惑をかけるのはやはり大人としていけないだろう。
「そういえば鯨って最近見ないな」
「そうじゃな、最近とんと見ぬのう」
「鯨じゃなくて牛乳でしょう?お二人さん」
「おお!そうだったな!危うく殿に鯨のヒントを出すところであった。礼を言うぞ、左近殿」
ご長寿クイズ的な様相を呈してきた三人の会話は留まるところをしらず、もはや佐吉に牛乳を思い出してもらおう作戦会議は失敗かと思われた、その時。
「やはり…さきまら、あとをつけてきていたのだな…」
三家老の会議場と化していた菓子コーナーの裏の棚からかすかな声がした。鯨肉の懐かしさに議題を移した三家老にその声は届かない。
あの後、兵庫助によく似た声の正体を気にしながら、それでも梵天丸の忠告通り店内をうろうろしながら買うべきものを必死に思い出そうとしていた佐吉である。
(ここは…にちようざっかか…そういうものではなかった…とおもうが…?)
念の為、棚を隅々までチェックしようと立ち寄った洗剤コーナーの裏から聞こえてきたのは、石田家家老三人衆の声に間違いないではないか。
「だから鯨ではなくてですね、殿には牛乳を思い出してもらわなきゃ仕様が無いでしょう。で、牛乳と言えば…」
「牛じゃな!」
しかも馬鹿丸出しの会話。
それはもうさきほどいったはずだぞ、郷舎。きさまはなんど「うし」とさけべば、きがすむのだ?
「牛か…タンをはじめて食った奴は本当に無双の武だな。俺は尊敬する!武士として!」
いまだいじなのは、うしのしたなどではないだろう、兵庫助。あと、きさまのもののふとしてのそんけいは、いろいろまちがっているぞ。
「いいですなあ、牛タン。さ、それはそれとして、また声色を変えて牛乳とでも叫びましょうか?」
左近、さきまのぐんりゃくは、いったい、いつさえるのだ?しかも「また」だと?
すでにおれは、こいつらのてだすけを、どこかでうけているのか?
三家老同士の会話が知り合いとして恥ずかしいやら屈辱的やら。奴らの会話で、牛乳を思い出してしまった自分にも腹が立つ。
いっそここで怒鳴り込んで三人揃って蟄居でもさせてやろうか、そんな思いに駆られた佐吉だったが。
「しかし、そこまでわしらが殿に手を出していいものか?」
打って変わって悲壮な覚悟を秘めた声色で郷舎が口を開く。
「でも殿が牛乳を思い出さなきゃ、はじめてのおつかいは失敗に終わってしまいますよ?」
「そうは言うが左近殿、俺らは殿に完璧におつかいをこなして欲しいわけではあるまい」
「……ええ、まあ」
左近が頷いたのが、見えないところにいる佐吉にも分かった気がした。怒鳴り込もうと大きく吸った息を、そうっと吐き出す。
「良いやり方ではないが後はつけようと思う。もしも殿に何かござったら、申し訳が立たぬ、が…」
「俺も殿が楽しく買い物できればいいですよ。ただ、成功させて喜ばせてもやりたんです」
「そうなるとやはり殿に牛乳を思い出していただかぬことには」
いつも豪快に佐吉を抱き上げ遊んでくれる郷舎も、にこにこと黙って話を聞いてくれる兵庫助も、そして母親よりも口喧しく世話を焼く左近も。分かっているのだ、彼らに自分がいつも心配をかけていることが。
それをちっとも苦労だなんて思ってくれないことが、また佐吉の気に触るのだけど。
(いま、おこるのは、やめよう)
このまま、そっとこの場を離れれば、左近達に佐吉がいたことはばれないだろう。幸い、買うべきものも彼らの会話から思い出すことが出来た。足音を立てないように、こっそりこっそり遠ざかる佐吉。
(でも、はらがたったのはほんとうだから、もうあとなど、つけさせてやるか)
後ろを振り返り三人がいないのを確かめると、牛乳の群れの中から一つ選び出しカゴに入れる。そのままレジに直行し
「148円、ぞ」
首の財布から五百円玉を取り出す。それを誇らしげに渡し、お釣りとレシートを財布に入れてもらって。
(…かったぞ。おれはぎゅうにゅうをかったのだ。みていてくれたか、弁丸、与六、まあ梵天丸もいれてやろう……あといちおう、左近とか)
牛乳を入れてもらった袋をしっかり握り締め、とてとて、と出口に向かう。あとは、これを無事家まで持ち帰るだけだ。
スーパーの自動ドアをくぐると、佐吉は一度だけ後ろを振り返り、そして猛然と走り出したのだった。
今日は長くてごめんなさい。でもやっと買えました!よかったね、さきち!
「スーパーあづち」(今決定)のレジはあのお方です。