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急に思いついたんです。


「ああ、そういえば」
二杯目の飯を軽く平らげた幸村がふと顔を上げて言う。そういえば。その言葉と共に箸をちょいちょいと動かして空を指してみせるが、その行儀云々を口喧しく指摘する者はここにはいない。昌幸だって新聞を広げながら、信幸が見ているテレビに時々突っ込みとかいれてるくらいだし。

「クロを久しぶりに見ました。縄張りが移ったみたいですね」
クロ、は、真田家の庭に時折姿を見せていた猫である。飼ってもいないのに幸村は勝手にクロと呼び、時々餌をやっていた。
「そうか、心配していたけどコゲは無事だったんだね、良かった」
そう幸村に微笑んでみせるのは信幸である。
「全くこっちの気も知らず呑気なものだわ。チビが子を産んでもうチビと呼ぶのはどうかと思ってた矢先に姿が見えぬようになったものじゃからのう」
「父上、クロです。チビではありませぬ」
「クロじゃないだろう幸村。あの子はコゲだよ。今度会ったらよろしく言っておいておくれ」
「はい、兄上。クロにでしたら、きちんとよろしくと伝えておきます」
クロ、のところを強調しながら答えた弟に、信幸は自分の無意味な頑固さを棚に上げて苦笑いしてみせた。



野良猫に三人が三人別々の勝手な名前をつけて可愛がってそうな真田家。
別にだから何、って話なので、日記にあげときます。本当にだから何だ。

「あ、あの子がクロです」
「クロ?猫の?お主の家によく来てたという奴か?」
「そうです。兄上はコゲと呼んでますし、父上は猫はみんなチビと呼んでますけど」
クロとやらは視線を感じたのか、優雅に寝返りをうつと塀の向こうにするりと消えた。

「なあ幸村。一個聞いてもいいか?何でクロなのじゃ?」
「足が黒っぽいからです」
何と言う簡潔な答えだ。
政宗は心持ち顔を顰めながら先程の猫の残像をありありと思い浮かべる。四本のすらりとした足先は確かに黒っぽかった。つまり、黒ではなかった、というかむしろあれはこげ茶じゃろ?足先と鼻先の茶色い模様以外はふわふわした真白な猫だったのだし。
「…その三択なら、儂はコゲが一番ふさわしく思う。どれも短絡的に過ぎるが」
心底そう思ったが、「兄上の言葉を伝えるのを忘れておりました」としょんぼりする幸村にそうも言えず、政宗は口を噤む。まあ良いわ、これしきのことで不貞腐れられても面倒臭いし。

真田家の庭から伊達家周辺にテリトリーを移したその猫を政宗がこっそりコゲと呼び、時折ねこじゃらし片手に彼女の退屈凌ぎのお相手を仕っていることは、勿論幸村には知る由もない。



幸村が愛おしければ、彼の可愛がっていた野良猫まで可愛い政宗。(でも名前は違う)

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